いよいよブラジル音楽の代表選手。 サンバ(Samba)のベースラインについて書いていきたいと思います。 そもそもですが、元々のサンバのアンサンブルにベースという楽器は存在しません。 ベースの役割をしているのは、スルド(Surdo)という低音打楽器です。 ということで、今回はスルド(Surudo)系のベースフレイズを中心に書いていきます。
元々の打楽器だけでのアンサンブル"Btucada(バツカーダ)"では、 3つのスルドが使われています。 ベースはスルドに音程を付けているような役割となっています。
1.「基本的なライン」
3つのスルドのうち一番低い音程の"スルド・ヂ・プリメイラ(Surdo de Primeira)"のパートです。 スルド・ヂ・マラカオ(Surdo de Maracaçåo)、マラカナン(Maracanå)、パイ・ヂ・トドス(Pai de Todos)、トリメ・テハ(Treme Terra)、タンボーラ・スルド(Tambor Surdo)等とも呼ばれます。 バツカーダ(Batucada)では中心となる役割の楽器です。 サンバのリズムの中で最も強いアクセントとなる2拍目を担っています。 スルドがアンサンブルの中心となる基本的なパルスを出していく役割となります。
4分音符で1拍ずつ演奏しています。 1拍目はRootをスタッカートでなるべく小さな音量。 2拍目をテヌートでアクセントを付けて弾く。 (アクセントと書きましたが…音量を出して弾くというよりは重心を置いて演奏するという感覚で僕はやっています) これが最も基本的なサンバ(Samba)のラインとなります。 2拍目を1拍目より低い音程にした方が容易にグルーヴが出せると思います。 Rootと低い5thを交互に弾くようなのが最もよくあるサンバのベースラインと思います。 動画のような音価を意識してベースを弾いてみましょう。
これのバリエーションというか、同じなのですが1拍目の音価をほぼ0にして小さな音で少しだけ弾くだけのものもありです。 1拍目の音の長さをコントロールするだけでも色々なバリエーションが付けられます。
1拍目を完全に休符にしました。 この場合、Rootの音は弾かずに5thの音を弾きましょう。 フロントの奏者がブラジル音楽に不慣れな場合は、 コード感がわからずに戸惑うかもしれませんのでほどほどにw
1拍目もテヌートで弾くこともあります。 しかし、この音価でサンバのグルーヴを醸し出すのはなかなか難しいのです。 音を伸ばしたテヌートの状態でも、サンバらしく演奏できているのならばかなりサンバのグルーヴを理解&体感できた状態だと思います。 しっかりとパーカッションのグルーヴを感じながらスタッカートで弾いているときと同じようなテイストで弾けるようにしていきましょう!
2.16分音符を付加したパターン
この動画のスルドのパターンを模したベースラインです。
スルドスティックで叩いている部分とミュートの部分全て音程を付けて弾いてみています。 このパターンになってもあくまでアクセント・重心は2拍目に置きます。 抽象的なイメージになりますが、1拍目の16分4つ目の音から2拍目にかけて前に進み腰が沈む感覚と、2拍目の16分4つ目の音から次の1拍目へ行くときの腰が浮く感覚を掴みながら弾くと安定させやすいかなーと思います。
ジャズ系やポップスで聞き覚えのある上記のようなパターンでサンバのグルーヴを出すのはなかなか難易度が高いので避けたほうが無難です。 2拍目の音が1拍目より音程が上がっていると、 アクセント/重心、腰の沈む感覚が再現しにくいのです。 最初のRootより低い方の5thのほうがスルドっぽく容易に聴かせられると思います。
今までの付点8分と16分音符からなるベースラインは、 音価を適切に保つのが難しいので、まずは間をミュート(空ピック)で全て弾いて埋めてみましょう。 こうして音価を確かめながら弾いてみると段々つかめてくるかもしれません。
空ピックを弾いているときは、この動画のCaixa(カイシャ)を叩いているような気分でやりましょう! 16分音符4つ叩いているだけですが、ちょっと3連符に訛って聞こえると思うのですがこのイーブンと3連の狭間のいいポイントで演奏していくのがサンバのキモです。 実はラテン音楽のトゥンバオでも同じくなのですが、 アフロ系がルーツの音楽故の部分なんでしょうね。 このあたりはまたじっくり別の記事で書いていきましょう。
という感じで、大雑把にではありますがまずはスルドに模倣したサンバベースの基本的なパターンを紹介してきました。 細かいグルーヴの感じ方やバリエーションも色々今後は紹介していきたいと思います。
「ブラジル音楽のベース入門 その4「サンバのベース基礎編」」への1件のフィードバック