まずは譜面の表記などについて書いていきます。
拍子の表記について
ブラジル音楽は基本的に2/4拍子で表記します。
前回の記事で紹介した「Latin Bass Book」、「ブラジリアンミュージックワークショップ」は、 4/4拍子でラテン音楽などと同じくin2のフィールで表記しているのですが2/4拍子のフィールが一般的です。
出回っているジャズ系のReal Bookや黒本などで「イパネマの娘」の譜面表記は4/4拍子で下記のようになっています。
しかし、ブラジル系の譜面では下記のように表記されています。
もちろんJobimの自筆譜でもこのようになっています
ということで、ブラジル音楽は2拍ごとにグルーヴの単位があるので、やはり2拍子の表記がしっくりきます。
譜面は基本的には2/4拍子で表記することが望ましいです。
リズムパターンの単位
ラテン音楽では1クラーベつまり2小節がリズムパターンの最小単位となりますがブラジル音楽では下記のようになっています。
1小節のパターン
Baião(バイァオン)、Xaxado(シャシャード)、Chorinho(ショリーニョ)など
2小節のパターン
Samba(サンバ)、Bossa Nova(ボサノヴァ)、Frevo(フレーヴォ)、Maracatu(マラカトゥ)など
4小節のパターン
カーニバルのビートでZe Pereira(ゼ・ペレイラ)
ブラジリアン・クラーベ
多くの人が勘違いをしておりますがブラジル音楽には、キューバ音楽の特徴の2-3クラーベ、3-2クラーベといったパターンは用いられません。
ブラジリアン・クラーベという考え方が「サルサガイドブック」などに記載されています。
(Nelson Faria著「Brazillian Guitar Book」ではボサノヴァ・クラーベと書かれています。)
これはサンバにおけるタンボリンのパターンの一部を切り取ったものでボサノヴァのドラムのリムショットなどでよく演奏されています。
これをキューバ音楽におけるクラーベと同じように、リズムの軸として解釈してしまうのは大きく誤解があると思います。
このパターンを軸にリズムやハーモニー、メロディーを作るラテン音楽におけるクラーベとは全く違います。
あくまでただのリズムパターンの一つに過ぎません。
ということで、譜面の表記などについてざっと書いていきました。
次からはいよいよサンバのベースパターンなどについて書いていきたいと思います。