「クラーベ」タグアーカイブ

ラテンベース入門「Clave Neutralの全パターンまとめ」

前回までに紹介したClave Neutralの4パターン×4バリエーションをここでまとめて見たいと思います。

4パターン
Tresillo(トレシージョ)
Habanera(ハバネラ)
Guaracha(ワラチャ)
Bolero(ボレロ)

4バリエーション
Unanticipated-Single-Ponche
Unanticipated-Double-Ponche
Anticipated-Single-Ponche
Anticipated-Double-Ponche

このそれぞれのバージョン合計16種類となるわけです。

Tresillo(トレシージョ)

Unanticipated-Single-Ponche
Tresillo(USP)
Unanticipated-Double-Ponche
Tresillo(UDP)
Anticipated-Single-Ponche
Tresillo(ASP)
Anticipated-Double-Ponche
Tresillo(ADP)

Habanera(ハバネラ)

Unanticipated-Single-Ponche
Habanera(USP)
Unanticipated-Double-Ponche
Habanera(UDP)
Anticipated-Single-Ponche
Habanera(ASP)
Anticipated-Double-Ponche
Habanera(ADP)

Guaracha(ワラチャ)

Unanticipated-Single-Ponche
Guaracha(USP)
Unanticipated-Double-Ponche
Guaracha(UDP)
Anticipated-Single-Ponche
Guaracha(ASP)
Anticipated-Double-Ponche
Guaracha(ADP)

Bolero(ボレロ)

Unanticipated-Single-Ponche
Bolero(USP)
Unanticipated-Double-Ponche
Bolero(UDP)
Anticipated-Single-Ponche
Bolero(ASP)
Anticipated-Double-Ponche
Bolero(ADP)

Clave Neutralのまとめ表

表でまとめてみました。
とりあえず、4拍目は必ず演奏しているわけですね。
それぞれの違いをこれで確認してみましょう。
クラーベの向きに関わらず使用できるClave Neutralのフレーズはここまで一通り紹介してきました。
残りのClaveの向きに沿ったトゥンバオのフレージング、 「Clave-Aligned」はClave Neutralよりもファンキーでリズミカルなフレージングが多くあります。
SalsaやCharanga、Sonなどでも時折見られますが、TimbaやSongoなどの現代のキューバ音楽のスタイルではとても頻繁に用いられます。

しかし、これらのトゥンバオをClave Neutralのように簡単にまとめることが困難です…!
それぞれの曲のアレンジやアンサンブルに沿ってできあがっているものも多くこれとまとめることが難しいです。
とういことで、ケースごとに沿って少しずつ紹介していければと思います。
ABEMA

ラテンベース 入門「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その4 ADP〜Anticipated Double-Ponche」

4パターン×4バリエーション=合計16種類のトゥンバオ。 
いよいよ最後のバリエーション
「Anticipated-Double-Ponche」
について書いていきます。  

Anticipated-Double-Ponche(ADP)

「Anticipated-Doube-Ponche」(または「ADP」)
は前回の記事で紹介した
「Anticipated-Single-Ponche」の4拍目を2音に変化させたものになります。
もしくは、Unanticipated-Double-Poncheの4拍目をタイさせたものとも言えます。
このADPは、4拍目の2音がコンガのトゥンバオのパターンにと完全に一致するので最もフィットしていると言えます。 
そんなこともあり非常に使い勝手が良いバリエーションです。

Tresillo(ADP)

Tresillo(ADP)のパターンは中心的なパターンに用いても、バリエーションとして用いても非常に耳馴染みがよいパターンです。
実際のコード上で演奏すると下記のようなトゥンバオになります。 
下記の音源などでこのパターンを用いたトゥンバオが聴けます。
“El Paso de mulo” Orquesta Havana Riverside 1:43〜
“Hachero Pa’ un Palo” Sonora Ponceña 3:10〜
“De Noche” Fajardo y Sus Estrellas 2:13〜

Habanera(ADP)

Habanera(ADP)のパターンも中心的なパターンとしても、バリエーションとしてもよく用いられます。
実際のコード上で演奏すると下記のようなトゥンバオになります。 
下記の音源などでこのパターンを用いたトゥンバオが聴けます。
”No Me Llores Más” Arsenio Rodríguez 1:49〜
“Suena Tu Bongó” Sonora Ponceña 3:15〜
“Llego Mijan” Tito Puente 2:00〜
”Mi tonada” José Fajardo 1:39〜
“Driven to Tears” The Police

Guaracha(ADP)

Guaracha(ADP)のパターンは、実際のコード上で演奏すると下記のようなトゥンバオになります。 
Guacacha(ADP)のパターンはアレンジの最後の場面で弾かれたり、ソロで弾かれたりすることが多いです。
つまり盛り上げどころで弾くケースが多いです。
ピアノとユニゾンでこれを弾くと更にエネルギーのあるパターンとなり一部のミュージシャンはこのパターンを"Montado"と称します。
また、1950年代のチャランガで使用される下記のようなパターンもMontadoと呼ばれることもあります。
下記の音源などでこのパターン=Guaracha(ADP)を用いたトゥンバオが聴けます。
“Voy Pa’ Pinar Del Rio” Tito Gomez y Orquesta Riverside 2:16〜
“Suena Tu Bongó” Sonora Ponceña 2:45〜
”Fajardo Esta de Bala” Fajardo y Sus Estrellas 1:48〜

Bolero(ADP)

実際のコード上で演奏すると下記のようなトゥンバオになります。 
Bolero(ADP)のパターンは、Bolero(UDP)のパターンと同じくなのですが、これが弾かれているパターンはなぜかあまりありません…
Bolero(UDP)は繰り返して弾いていると少し慌ただしいフィールがありますが、このBolero(ADP)はファンキーで自然なフィールに聞こえます。
少し挑戦的な音使いとはなりますが選択肢に入れておいても良いと思います。
下記の音源などでこのパターンを用いたトゥンバオが聴けます。
“Los Sitios Acere” Arsenio Rodriguez 2:52〜
“Guao” Perez Prado 2:00〜

ということで、ここまでで
4パターン×4バリエーション=合計16種類のトゥンバオ。
全てを解説してきました。

Tresillo(トレシージョ) 
Habanera(ハバネラ) 
Guracha(ワラチャ)
Bolero(ボレロ)    
の4パターン

Unanticipated-Single-Ponche
Unanticipated-Double-Ponche
Anticipated-Single-Ponche
Anticipated-Double-Ponche
の4バリエーション

次の記事で一覧でまとめてたものを記載しようと思います。
ABEMA

ラテンベース入門ラテンベース入門「トゥンバオの訛りその2」

前回の記事ではトゥンバオを2拍3連との中間点で弾くアプローチについて書いてきましたが、今度は具体的な練習方法について書いていきたいと思います。

メトロノームで練習してみよう

"6/8 Afroと4/4拍子の中間で弾く…"
ということをする為にはまずはこれらの拍子を同時に感じられる必要がある訳です。

ということで、まずはこちらをできるようにしましょう。
クリックを下段の3/4拍子で鳴らします。
そして、これに合わせて上段のように一小節を2つで割ってクラップしてみましょう。
(実質2拍3連なのですが、そうではなくあくまで2つに割っていると感じるのがポイントですw)
記譜している拍子をそれぞれ統一して書くと上記のようになります。
こう書いてくと捉えやすいと思いますが、あくまで最初に紹介した譜面のように違う拍子が同時進行しているんだという感覚を身に着けたいところです。

更に上記ができるようになるとそれぞれの拍子を同時に捉える感覚が強くなると思います。
こちらも記譜している拍子をそれぞれ統一して書いてみました。
これでそれぞれの音符の鳴る位置を確認しつつ、違う拍子がそれぞれ同時進行で進む感覚を身に着けましょう。

2拍3連と2-3クラーベ

ということで、今度はクラーベにあてはめて3連系のリズムをクラップできるようにしていきましょう。
まずは上記のように1拍3連符を刻みながらクラーベを刻めるようにしてみましょう。
例えば…
右手で3連符、左手でクラーベ
右手でクラーベ、左で3連符
としながらやってみましょう。
お次は2拍3連を刻みながら、クラーベを刻めるようにする練習。
これができると6/8拍子と4/4拍子を同時に感じる感覚がだいぶわかってくると思います。
そして、今度は裏の2拍3連とクラーベ。
2拍3連ができていればわりとすんなりできるはずです。
クラーベとの位置関係を考えてからやればわりとすんなりできると思います。
そして、4拍3連とクラーベ。
クラーベとの位置関係が把握しやすいように1拍3連で表記したものも併記しておきます。
4拍3連は6/8拍子でのベースの刻みと同じなのでこれが把握できればかなり6/8拍子と4/4拍子が並走している感覚が掴めたはずです。

という感じで、クラーベと3連系の音符を一緒に刻む練習を紹介してきました。
ここでは2-3ソンクラーべで全て紹介しましたが、
3-2ソンクラーべ、2-3ルンバクラーベ、3-2ルンバクラーベでも同様にできるようにしてみましょう!

この手の練習方法をひたすらに紹介しているのが下記の教則本。
「The John Benítez Bass Method, Vol. 1: Freedom In The Clave: A Rhythmic Approach To Bass Playing」
Kindle版だと書籍の1/3くらいのお値段とお安いのでおすすめです。

Freedom in the Clave: A Rhythmic Approach to Bass Playing (John Benítez Bass Method)

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実際のトゥンバオで練習してみる

前回の記事で紹介した上記のトゥンバオ。
これらの中間点を弾くということで今までの練習をしてきたわけですね。
まずはクリック or クラーベにあわせてこの2つを交互に弾いてみましょう。

慣れてきたらこれを混ぜて中間点で弾くアプローチを練習してみましょう。
この時にポイントとなるのがそれぞれの4拍目の音です。
次の小節の音をシンコペーションするここは必ずイーブンの4拍目頭と一致させます。
ということで、クリックを4拍目だけ鳴らしてこの練習をしてましょう。

これができてくると訛りをコントロールしつつ、テンポもキープできた安定しつつドライブさせたトゥンバを弾けるようになってくると思います。
ぜひチャレンジしてみてください!
ABEMA

ラテンベース入門 「6/8のクラーベについて その1」

クラーベについては以前の記事で簡単に一通り解説しましたが、この記事からは6/8のクラーベについて解説していきます。
これは6/8のベルのパターンと同じもので、ベンベ・クラーベ(Bembe Calve)とも呼ばれます。

まずは記譜方法や他のクラーベとの関係性について書いていきます。


記譜について
このクラーベは6/8の拍子記号、6/4拍子、12/8拍子、3/4拍子、4/4拍子いずれでも書かれることがあります。
6/8拍子のクラーベに合わせながら、様々な拍子記号でパルスに合わせて足を踏む練習をしましょう。
記譜上は違いがありますがいずれも同じリズム&パルスのものです。
 他のクラーベともパルスは共通
4/4拍子、6/8拍子いずれのビートでも同じようにパルスを感じるというのがラテン音楽で最も重要な概念の一つとなります。
上記のクラーベはそれぞれ同じパルスを感じながら演奏していることになります。
ソンクラーべとルンバクラーベのパルスの2分音符と、
6/8クラーベのパルスの付点4分音符は同じ固定されたパルスとなっている訳です。

これを利用して6/8拍子と4/4拍子で行き来するようなアレンジ、フレージングも沢山あります。
6/8Afroのグルーヴで前半は演奏していますが、
3:34で3-2Rumba Claveでのキメをきっかけに4/4拍子へと変化しています。
記譜上は拍子が変化していますが、パルスとテンポは6/8の部分と4/4の部分でもあくまで同じまま演奏しています。
動画の3:13〜4/4になって少しまでのベース譜とパルスを記譜してみました。


PDF:Footprints_3_13〜

このように6/8拍子と4/4拍子で行き来したりすることはしばしあります。
また6/8拍子と4/4拍子がポリリズム的に混在することもよくあります。
ラテン音楽を演奏する上では、6/8拍子と4/4拍子をいつでもスイッチできて、いつでも同時に感じていることがキモとなります。

という感じで簡単に6/8拍子の記譜方法、他のクラーベとの関係性について書いてきました。
この後ももう少し6/8クラーベの成り立ちなどを紹介してから6/8拍子のベースラインについて書いていきたいと思います。
結構テーマが大きい部分なのでどこまでどう書くか悩みますね〜。



ABEMA

ラテンベース入門 クラーベを反転させる

クラーベの向きは曲が一度スタートしたら途中で変わることはありません。
でも、ラテン音楽を聴いていると「途中でクラーベの向きが逆になる!」というのを耳にすることがあると思います。
これは
奇数小節のフレーズを入れてクラーべを反転させています。

具体的には…
全てが偶数小節でできている曲を2-3クラーベではじめたら、
最後まで2-3クラーベのままです。
でも、曲の途中に奇数小節でのフレーズがあったらその次の小節からは3サイドが先に聞こえてそこからは3-2クラーベに変わるというわけです。

ちょっとこう文字で書いていてもわかりにくいので、
実際の曲で例示していきます。


ラテン・ジャズのスタンダード
みんな大好き「Maria Cervantes」です。

この曲はテーマ部分は3-2なのですが、モントゥーノというかソロの部分の手前で奇数小節をはさんで2-3クラーベになっています。

まず、イントロテーマとだーっとありますので
2:33位から聴いてみて下さい。
3-2クラーベが鳴っているのがわかると思います。
2:47の部分に1小節のキメがありここが奇数小節になっています。
2:49〜のモントゥーノに入ると2-3クラーベになります。
4:57〜ソロが終わりヴィブラフォンでトゥンバオを弾いて。
5:05〜でキメからの1小節ブレイクして奇数小節をはさむ。
5:07〜再び3-2クラーベになって後テーマを弾く
というような流れになっています。

このような感じでテーマが3-2クラーベで奇数小節を挟んで、
モントゥーノは2-3クラーベという手法は頻繁に用いられます。
クラーベについて記載した記事でも書きましたが、
3-2クラーベは落ち着いたフィール、2-3クラーベは前に進むようなフィールがありますのでモントゥーノでガツンと盛り上げようというような時にはもってこいなアレンジな訳です。
譜面を確認するとわかりやすいとは思うものの、
面倒だったのでMaria Cervantesについては譜面は省略。
「Maria Cervantes」「Sheet」とかで画像検索したら死ぬほど違法アップロード譜面が出てくると思いますのでそれで確認を…
Latin Real Bookを買ってそこに掲載されている譜面を確認してみましょう。

The Latin Real Book – C Edition

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順位131,887位

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もう1曲。
今度は譜面を眺めながらクラーベを叩いて確認してみましょう。
"Bilongo"というSonの定番曲です。
色々なアレンジがあるのですがこの動画のバージョンはかなり頻繁にクラーベが逆さになっています。

この曲のCoro-Cantaのところまで簡単なコード譜をあげてみましたので、これを追いかけながら確認してみましょう。
さっきのMaria Cervantesと違ってクラベスがなっていないのでわかりにくいかしら…?
まず3-2クラーベで曲がスタートします。
イントロの終わりに1小節奇数小節を入れてクラーベが反転。
歌が入ったAセクションからは2-3クラーベでスタート。
管楽器のリフ後に最後1小節のブレイクが入りここが奇数小節となりクラーベが反転。
0:40〜 Bセクションは3-2クラーベでスタート。
Bセクションが7小節と奇数小節で構成されているので再びクラーベが反転。
0:49〜 Cセクションは2-3クラーベでスタート。
1:13〜 Cセクションの終わりでブレイクが入ってここで奇数小節が入ってクラーベが反転。
1:14〜 Dセクションは3-2クラーベでスタート。
このセクションも7小節と奇数小節で構成されているのでクラーベが反転。
1:23〜 Coro-Cantaが2-3でスタート。

というように、目まぐるしく毎セクション奇数小節を入れ込みクラーベが反転しています。
とはいえ、曲の始まりからクラーベを止まらずそのまま進ませていけばずれたりはしないわけです。
前述した通り、クラーベは曲がスタートしたら決して止まらず刻まれ続けます。
2サイドが2回連続するとか、3サイドが2回連続するみたいなことはありません。
そこで、このように曲のアレンジ上で奇数小節を挟んでクラーベを逆転させるという手法を用いるわけです。
これを演奏前に確認しておくとちょっと安心して演奏できますね。



ただ、こう書いておいてなんなのですが…
このルールに則っておらず奇数小節を挟んだわけでもないのに、突然クラーベが逆転しているという例外的な手法を使っている曲も案外存在します…
曲のメロディーなどなどの都合でその方がよい場合もあるので、
そういうった場合には例外的な手法で用いることもあるようです。
クラーベディレクションにこだわるあまりに、曲の価値を損なわせてしまうようでは本末転倒ですからね〜。
まあ、そういう曲に遭遇することも時にはあるかもしれません。

ただ、クラーベを間違ったサイドで演奏することはやっぱりダメです。
ABEMA

ラテンベース入門 クラーベとコード進行

クラーベとコード進行について書いていきます。
クラーベの向きでコード進行も変わってきます。
というべきなのか、
コード進行によってクラーベの向きを変えますなのか。
鶏と卵的な話でどちらが先にくるのかはケースによるのでしょうがw

True Cuban BassやLatin Bass Bookにも記載があるのですが、
コード進行がクラーベを決定する要素にもなります。
トニック(Tonic)から始まるコード進行は2−3です。
モントゥーノでよくでてくるコード進行ですが
Ⅰ−Ⅳ−Ⅴ−Ⅳの場合は一般に2-3
となります。
これが違和感なく思えるのは、
解放感がある2サイドにトニック(Ⅰ△7)が配置され、
緊張感がある3サイドにドミナント(Ⅴ7)が配置されているからと思います。
3サイドの最後の音であるポンチェ(3サイドの4拍目)でもリズムとハーモニーの解決感が一致しています。

ドミナント(Dominant)から始まるコード進行は3−2です。
Ⅴ-Ⅳ-Ⅰ-Ⅳのコード進行は、トニックから始まるものとは逆で一般に3–2になります。
これは2−3のときとは逆で
緊張感のある3サイドでまずドミナント(Ⅴ7)が置かれ
ポンチェ(3サイドの4拍目)にトニックがきてリズムの解決感とハーモニーの解決感が一致。
そして、解放感がある2サイドにトニックを配置いるためクラーベとコード進行が一致している感じがします。

と、ここまで書いてきましたがあくまでコード進行だけで判断するとこうだようという話でして実際はメロディーの動きでも判断してクラーベが逆になってたりというケースもあります。
あくまでこのコード進行だと一般的にはこうなるという話です。

ベーシスト的にはとりあえず、初見でクラーベの向きが謎な時などは最初はベーシックなトゥンバオを弾いておきましょうw
そして、メロディーの流れなどでクラーベが判別できてきたらバリエーションをつけていくようにしましょう。



ABEMA

ラテンベース入門 クラーベに基づいたフレージング


クラーベの機能

ラテン音楽を演奏する上で大切なのは、
イン・クラーベであり続ける
ということです。
アレンジを構成するリズム/メロディ/ハーモニー全てがクラーベに沿うように展開していきます。

この記事ではハーモニー、メロディについてはおいておいて。
ひとまずリズムについて書いていきたいと思います。

クラーベにリズムを対応させよう

ラテン音楽の各楽器のパターンはクラーベによって形成されています。
ですので、クラーベの種類によってどのようなパターン/フレーズを演奏するかが決定されます。
基本的なルールとしては、
・クラーベの2サイドの小節ではダウンビート(表拍)を強調する。
・クラーベの3サイドの小節ではアップビート(裏拍)を強調する。

わかりやすい2小節のピアノのトゥンバオのパターンを例としてあげてみます。
Ex.1a 2-3クラーベでのピアノのトゥンバオ
まず2-3クラーベでのピアノのトゥンバオのパターン。
2サイドである1小節目は表拍から始まるフレーズで、
3サイドの2小節目は全て裏拍で始まるフレーズになっています。
したがって、このトゥンバオは2-3クラーベに沿ったトゥンバオとなるわけです。
Ex.1b 3-2クラーベでのピアノのトゥンバオ
Ex.1aのパターンを3-2で演奏する場合は、小節を逆さまにして裏拍から始まるフレーズから始めればよいわけです。
リズムスタイルなどによりこのルールから外れるものもありますが、基本的にはこのルールに基づいてフレージングされます。
クラーベに影響されないトゥンバオのパターンもあります。
(ベースでいうと以前の記事のようなパターン)
下記のようなピアノのトゥンバオはクラーベに影響されずに演奏できます。
Ex.2-1(2-3で)
Ex.2-1(3-2で)
Ex.2-2(2-3で)
Ex.2-2(3-2で)
これらはソンなどにおいてトレスなどでよく演奏されるパターンです。
表拍(1,3拍目)を強調しないで、アップビート(2,4拍目)を強調した1小節パターンとなっています。
このように
ダウンビート(表拍)を省略し、シンコペートした1小節のパターンを演奏するのであればクラーベとは衝突しません
まとめ
1.クラーベの2サイドの小節ではダウンビート(表拍)を強調。
2.クラーベの3サイドの小節ではアップビート(裏拍)を強調。
3.ダウンビート(表拍)を省略し、シンコペートした1小節のパターンを演奏するのであればクラーベとは衝突しない。

クラーベに基づくベース・トゥンバオのフレーズ

とりあえず、ここまではピアノトゥンバオを例にクラーベの反転によるフレーズの変化を解説してきました。
ベースラインにおいても同様のルールでフレーズを変化させていきます。
通常のベーストゥンバオではこれらの影響を受けませんが、
トゥンバオを複雑化させていった場合これを注意していく必要があります。
ここで幾つかのクラーベに沿ったトゥンバオをクラーベの向きが正しい例と間違った例を並べてみます。
クラーベに当てはまっているものをイン・クラーベ
クラーベと当てはまらないものをオフ・クラーベ
といいます。
Ex.1
Ex.1 (2-3 in Clave)
Ex.1(3-2 Off Clave)
Ex.1は2小節(1クラーベ)のフレーズです。

上段2-3のトゥンバオがイン・クラーベです。
上段だと2サイドで表拍を強調したフレーズ、3サイドで裏拍を強調したフレーズとなっています。
3サイドのフレーズはクラーベとシンクロしています。
下段の3-2の場合2サイドで裏拍を強調したフレーズになり、
クラーベに当てはまらないフレーズとなっています。
Ex.2
Ex.2(2-3 In Clave)
Ex.2(3-2 Off Clave)
Ex.2はCachaoの有名なフレーズで、4小節(2クラーベ)でできています。
上段2-3のトゥンバオがイン・クラーベです。
こちらもEx.1と同様に上段だと2サイドで表拍を強調したフレーズ、3サイドで裏拍を強調したフレーズとなっています。
3サイドのフレーズはクラーベとシンクロしています。
下段の3-2の場合2サイドで裏拍を強調したフレーズになり、
クラーベに当てはまらないフレーズとなっています。
Ex.3
Ex.3(2-3 Off Clave)
Ex.3(3-2 In Clave)
Ex.3は、2小節(1クラーベ)のフレーズです。
下段3-2のトゥンバオがイン・クラーベです。
上段の2-3の場合、3サイドでの3拍目が裏拍でないと不自然な感じでオフ・クラーベです。
下段の3-2だと2サイドで表拍のフレージングがクラーベと当てはまります。
Ex.4

Ex.4(2-3 Off Clave)

Ex.4(3-2 In Clave)

Ex.4は、4小節(2クラーベ)のフレーズです。
下段3-2のトゥンバオがイン・クラーベです。
上段の2-3の場合、2小節目の3サイドでの3拍目の表拍のフレーズ、3小節目の2サイドでの1拍目が裏拍でのフレーズがオフ・クラーベです。
下段の3-2だと2サイドで表拍のフレージングがクラーベと当てはまります。

ということで、2-3/3-2クラーベでのフレージングについて簡単に書いてきました。
とりあえず、例示したのはソン・クラーベでのフレージングだったのですがルンバ・クラーベになるとまたベースラインもこれによって変わってきます。
これについても今後書いていきたいと思います。



ABEMA

ラテンベース入門「トゥンバオとクラーベ」


基本的なトゥンバオのパターンを紹介しました。
次はラテンの要であるクラーベとベースのトゥンバオの関係性を解説していきたいと思います。

クラーベについて

以前の記事で書いたようにした通りクラーベとはラテン音楽の要となるものです。

クラーベは繰り返し続けられるパターンで、通常曲のスタートから終わりまで変化しないでずっと同じリズムを刻み続けます。

(2-3と3-2が途中急に逆になったりとかはしません!アレンジ上そういう仕掛けもありますがそれについてはまた書いていきます。) 


他のすべてのリズムの土台にある定型のリズムなのですが、

クラーベが実際に演奏されていない状態でもその内側にクラーベが存在しているものとして感じ取ることが重要となります。
ラテン音楽における全てのフレーズはクラーベに沿ったり
クラーベに絡めたりしてフレージングしています。

ベースとの関連性

ベースのトゥンバオはクラーベのパターンを非常に直接的に表現したフレーズとなっています。

まずソン・クラーベとの関係性をみてみましょう。

ソン・クラーベは二つの小節で構成されています。

この音が3つある3サイドのうち、
2拍目の裏のことをボンボ(Bombo)と呼びます。

そして、3サイドの4拍目の音をポンチェ(Ponche)と呼びます。

ベースラインではこのボンボとポンチェにあたる部分を演奏
していくことになる訳です。

ボンボは、リズムをプッシュするようなフィーリングを作り。
ポンチェは、ボンボでプッシュされたストロークを落ち着かせ解決させるようなフィーリングを持っています。


前回の記事で紹介した標準的なトゥンバオは、

ボンボとポンチェを使ったものなので

"ボンボ・ポンチェ・トゥンバオ”

と呼んだりします。
このパターンで演奏する時、
まずトゥンバオのスタートする最初の小節で一拍目を演奏します。

しかし、そこから後は…

ボンボ(2拍目の裏)とポンチェ(4拍目)しか演奏しません!


ポンチェ(4拍目)を弾いたら小節線をタイでまたぎ次の小節のコードを先行して弾いていきます。

1拍目は一切演奏しません。
上記の譜例でわかるように、
トゥンバオは
クラーベの3サイドと譜割りが完全に一致しています。
対して、2サイドはクラーベと同じ拍の部分は演奏しません。
クラーベとトゥンバオの位置関係をしっかり把握しましょう。

クラーベとトゥンバオの位置関係を体感するための練習

リンカーン・ゴーインズの教則DVDの中でこのような練習方法を紹介しています。
動画の18:11辺り参照

足でクラーベを刻みながらトゥンバオを演奏してみましょう。
そうするとトゥンバオとクラーベの位置関係がよく体感できると思います。

クラーベの向きによるトゥンバオの変化について

基本的なトゥンバオは、クラーベの向きがどちらであっても同じものです。

他の楽器は、2小節のパターンで成り立ったフレーズになっているのでクラーベの正しい位置から演奏しなければなりません。

(ピアノモントゥーノ、コンガ、カスカラ、カンパナなどなど)


ということで、ベースは一見クラーベとは無関係なようですが、やはりベースのフレーズもクラーベと関連しているのです。


より複雑なフレーズのトゥンバオを使う場合には、クラーベとの関連性をフレーズで意識する必要があるのです。

感覚的な部分もあるのですが…

一般的には中心となるアクセントがクラーベの位置と揃うようにベースラインを構築させる
ようにしています。
これについてはまた別の記事で詳しく紹介していきたいと思います。



ABEMA

ラテンベース入門 記事一覧

「はじめに」

 「ラテンって何?」

「ラテンベースの教則本」※3番人気の記事です

「リズムの取り方」

「クラーベ」

「シンコペイトしないトゥンバオ」※5番人気の記事です

「ラテンベースの大半はこれ」

「トゥンバオとクラーベ」※1番人気の記事です

「クラーベに基づいたフレージング」

「サルサの曲構成」※4番人気の記事です

「クラーベとコード進行」

「クラーベを反転させる」

「Cha-Cha-Cháのベース基本編」

「Cha-Cha-Cháのベース発展形その1」

「Cha-Cha-Cháのベース発展形その2」

「6/8のクラーベについて その1」

「6/8のクラーベについて その2」

「Afro〜6/8拍子(ハチロク)のベース その1」

「Afro〜6/8拍子(ハチロク)のベース その2」

「ちょっとややこしい進行の時の対処法」

「トゥンバオの訛り その1」

「トゥンバオの訛り その2」

「Danzónのベース その1」

「Danzónのベース その2」

「ラテンベースの教則本 その2 Timbaとか最近のもの」

「トゥンバオがどうしても弾けない人向けの練習」

「Boleroのベース」

「パーム・ミュート奏法(PALM MUTE)」※2番人気の記事です

「Ian Stewartのレッスン動画紹介(Timba Bass)」

「ラテン音楽を学ぶための本色々」

「Son(ソン)のベース」

「Son Montuno(ソン・モントゥーノ)のベース」

「Guaracha(ワラチャ)のベース」

「Guaracha(ワラチャ)のベースの発展」

「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その1 USP Unanticipated-Single-Ponche」

「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その2 UDP〜Unanticipated Double-Ponche」

「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その3 ASP〜Anticipated Single-Ponche」

「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その4 ADP〜Anticipated Double-Ponche」

「Clave Neutralの全パターンまとめ」

【Pick Up Maestro】 Vol.1 Israel Lopez"Cachao"

【Pick Up Maestro】Vol.2 Al McKibbon

【Pick Up Maestro】 Vol.3 Bobby Rodríguez
ラテンセッションでよくやる曲とか

番外編「ラテンセッションの譜面」

単発レッスンについて「トゥンバオを弾けるようになろう講座」
ABEMA

ラテンベース入門 「クラーベ」


ようやくラテンっぽい内容になってきました。
が、まだベースを弾く段階になっておりませんwww

クラーベという単語はラテンをやったことがない方でも聞いたことある人もいるかもしれません。
オラシオ・エルナンデスというドラマーがフットクラーベを使ったドラムソロで他ジャンルの音楽シーンでも有名になりましたよね。

Clave(クラーベ)とはスペイン語で“鍵”という意味です。
即ちラテン音楽で鍵となるリズムなのです。
このリズムパターンをクラベスという拍子木のような楽器を叩いたり、他のパーカッションで刻んだりします。
このクラーベというパターンがラテン音楽のフレーズやパターンを作る上で重要な要素になります

クラーベとは…

Tension&Relalease(緊張と解放)の関係にある2つのリズムフィギアを繰り返すパターンのことです。
2小節のフレーズで成り立ち、2分音符のパルスでカウントを行います。
1小節ずつで区分けされる2つのリズムパターンを合体した形で構成されるパターンです。

クラーベのパターンは
「3つの音からなる小節」=3サイド
「2つの音からなる小節」=2サイド
で構成されていてどちらが先にくるかによって
3-2(スリーツー)、2-3(ツースリー)
という2つのパターンで呼びます。
3サイドで緊張感(テンション)
2サイドで解放感(リリース)
を感じるようなフィールになっています。

2-3の方が前に進んで行く感じがあります。
1小節目の2サイドで解放感を感じるリズムが先に出て、
2小節目で緊張感が出されます。
というような感じで、2小節パターンの2小節目で緊張感が出てくるので次に進んでいく感覚が演出されるので前に進んでいくようなフィーリングがあるのかと思います。

3-2の方は落ち着いた感じです。
1小節目の3サイドで緊張感を出して、
2小節目の2サイドで解放感を出します。
というような感じで、2小節間でビートが一段落するため安定感のある落ち着いたフィーリングになっているのかと思います。
クラーベはほとんどのキューバ音楽のリズムの土台になるもので、楽器のパターン、メロディのフレーズ、アドリブなども全てクラーベに沿って展開します。

クラーベには大きく[3種類]のパターンと、
この2小節パターンの前後を入れ替えた
それぞれの2−3,3-2の方向[2パターン] で合計6種類あります。

1.ソン・クラーベ(Son Clave)

2-3 Son Clave

3-2 Son Clave

2.ルンバ・クラーベ(Rumba Clave)

2-3 Rumba Clave

3-2 Rumba Clave

6/8クラーベ/ベンベクラーベ(Bembe Clave)

上段がクラーベのパターンで、下段がパルスです。
一応、両方書いておきますが2-3のBembe Claveのパターンはあまり用いられません。

3-2 Bembe Clave

2-3 Bembe Clave

6/8拍子のクラーベはパルスの感じ方が大切なのでこれも併記しておきました。
表記の仕方やパルスの感じ方についてや、ルンバクラーベとの関係性など色々知っておくべき要素があるのですが、長くなるので
また別の記事で突っ込んで説明したいと思います。

というようにクラーベの各種類を紹介してきました。
それぞれパルスと共に叩けるようにしましょう

例えば
1.足でパルスを刻みながら、クラーベを手でクラップする。
2.片手でクラーベ、もう一方の手でパルスを叩く
3.左右の手を入れ替えて同様に…
クラーベについては、キューバ音楽の核となるものです。
それ故に知っておくべきことは沢山あるのですがキリがないのでひとまず紹介だけ。



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