「ラテンベース入門」タグアーカイブ

ラテンベース入門 【Pick Up Maestro】 Vol.1 Israel Lopez”Cachao”

ラテンベース入門シリーズですが、「Pick Up Maestro」ということで、
レジェンドベースプレイヤーの紹介、解説をしていきたいと思います。
第一弾はラテンベースの最重要人物として異論は恐らくどこからもないでしょう。
Israel Lopez"Cachao"(イスラエル・ロペス・カチャオ)です。
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブでも知られているでしょうし、
2020年のRolling Stone誌「史上最高のベーシスト50選」にも28位でランクインしていました。
欧米のプレイヤーが並ぶ中で中々の快挙だと思います。

Israel Lopez”Cachaoのプロフィール

1918年、キューバの首都ハバナ生まれ。
2008年に89歳でお亡くなりになっています。
音楽家一家の生まれで10代の頃からベース奏者として地元オーケストラで活躍していました。
1930年代後半、兄Orestes Lopez(オレステス・ロペス)とともにMambo(マンボ)のリズムを確立し、後の様々なラテン音楽やジャズなどにも大きな影響を与えました。
1962年にへアメリカへ渡り、Tito Puente(ティト・プエンテ)や、Eddie Palmieri(エディ・パルミエリ)、Machito (マチート)、Gloria Estefan(グロリア・エステファン)等など数々のラテンスターと共演していました。

Israel Lopez”Cachao参加する名盤

Cachaoの参加作品は膨大にあるので僕のお気に入りをとりあえず紹介します。
“Master Sessions Volume1”
「Cuban Jam Session In Miniature”Descarga”」Cachao
Cuban Jam Session Vol.1
Cuban Jam Session Vol.2
この "Cuban Jam Sessions"のシリーズが最もプレイヤー的には有名なものだと思います。
アフロ・キューバン音楽をジャズの様な即興を主体としたフォーマットで演奏することを、積極的に行っていました。
これが現在のアフロ・キューバン・ジャズの基本となっていると言えます。
“Mi Tierra”Gloria Estefan
Buena Vista Social Club

特徴的なベースライン

“Descarga Cubanas”
Descarga(デスカルガ)とはジャムセッションのことです。
2-3クラーベに綺麗にハマったCachaoの印象的なフレーズからセッションは始まっています。
これはCachaoのリフの中でも最も有名なものの一つです
様々な曲でこのフレーズは拝借されていますので、ぜひ覚えておきましょう。
Goza Mi Trompeta
こちらもテーマと一体となり、クラーベに沿った印象的なリフです。
“Gandinga,Mondong y Sandunga”
これも有名なリフでいろいろな場面で使われます。
イントロにベースソロがあってからの1:17〜リフがはじまります。
ポリリズミックなリフで難解ですが、自然に弾けるようにしていきましょう。

Soloなど

“Al Fin Te Vi”
ボーイングによるメロディ演奏も大変素晴らしいです。
こちら"Al Fin Te Vi"はパキート・デリヴェラのクラリネットとのデュオです。
エレベ2本で僕が自粛期間中に演奏してみた動画もあげてみたりしました。
“Descarga Cubana” Bass Solo
ベースソロもリズミックで素晴らしいです。
上記の動画に譜面を載せています。
是非参考にしてみてください。
別の記事でもっと詳細にソロの分析なども行っていければと思います。

ということで、ラテンベーシストのマエストロの紹介記事でした。
引き続き他のプレイヤーも取り上げていきたいと思います。
簡単な紹介しかできなかったので、Cachaoについても今後更に取り上げて行ければなと思っています。
ABEMA

ラテンベース 入門その33「Guaracha(ワラチャ)のベース」

Guaracha(ワラチャ)はSon(ソン)に似た形で演奏されることが多いので、Son(ソン)をやや速くしたミドルテンポの楽曲と捉えられることが多いです。

19世紀にキューバの風俗を題材としたオペレッタ形式の舞台喜劇が行われていました。
その上演の前後に楽団がDanzon(ダンソン)やHabanera(ハバネラ)を演奏したのですが、その中でうまれたのがGuaracha(ワラチャ)と言われています。
そのため風刺的なものやピカレスク小説(16世紀-17世紀のスペインを中心に流行した小説の形式)などを題材にしたものや、ユーモラスな歌詞が多いです。

Guaracha(ワラチャ)の曲

“Cuidadito Compay Gato”
“Yo no soy Guapo”
“Compay Póngase Duro”

Guaracha(ワラチャ)のベース

Garacha(ワラチャ)でのベースラインについてです。 
Son(ソン)やCha-Cha-Cha(チャチャチャ)と類似するものが多いです。
Son(ソン)でも同様のベースラインがありますが、これが基本的なベースラインとなります。
Cha-Cha-Cha(チャチャチャ)でも使用されるベースラインですが、これも典型的なベースラインの一つです。
Ex.2の4拍目を8分音符2つに変化させてものです。
これもCha-Cha-Cha(チャチャチャ)で使用される典型的なベースラインでもあります。

ということで、Guaracha(ワラチャ)について簡単に説明してきました。
ベースラインとしては、Son(ソン)との区別はそうなく単純にテンポが少し早く、前のめりなフィーリングというような解釈で充分かと思います。
色々な曲を聴いて研究してみてください!
ABEMA

ラテンベース 入門その32「Son Montuno(ソン・モントゥーノ)のベース」

Son Montuno(ソン・モントゥーノ)は、Son(ソン)のバリエーションの一つです。
1940年代頃にキューバで流行した、より激しくシンコペーションしたリズムの音楽です。

Son Montuno(ソン・モントゥーノ)での編成

Son Montuno(ソン・モントゥーノ)は、1940年代から1950年代にArsenio Rodriguez(アルセニオ・ロドリゲス)によって確立されました。

彼がモントゥーノの部分をさらに充実させるために、それまでSon(ソン)の楽器編成であるSepteto(セプテート/七重奏団)にはなかったピアノやコンガを加え、1本か2本だったトランペットを3本にするConjunto(コンフント)という編成ができました。
ピアノが導入されたことで、トレスやギターのいないバンドも増え、その後のラテン、及びサルサのオルケスタの典型的な楽器編成になっていくわけです。

Son Montuno(ソン・モントゥーノ)の曲

“Fuego en el 23”
“Bruca Manigua”
“El Reoj de Pastora”
“Dame Un Cachito”

CachaoがDescargaで取り上げていた曲

ラテンベースの最重要人物といえるマエストロ。
Israel Lopez “Cachao”がDescarga(デスカルガ)で取り上げていたSon Montuno(ソン・モントゥーノ)の曲です。

“Cogele el Golpe”

“Oye Mi Tres Montuno”

Son Montuno(ソン・モントゥーノ)のベース

Son Montuno(ソン・モントゥーノ)のベースラインは、現在サルサとして知られているものの基礎となるスタイルです。
Ex.1のようなものがSon Montuno(ソン・モントゥーノ)での基本的なベースラインとなります。
2小節パターンで1小節目の4拍目の2つめの8分音符でシンコペーションするものが多いです。
これはトレスのリズムと同様なものになっています。
実際の曲の中でのベースラインを見てみましょう。
"El Reloj de Pastora"のイントロ部分のベースラインです。
前半のトゥンバオ部分は、2小節パターンで1小節目の4拍目の8分裏でのシンコペーション、2小節目の4拍目はシンコペーションせずよくあるオクターブの音使いですね。
同じく"El Reloj de Pastra"テーマに入ってからのベースラインです。
2小節パターンで1小節目の4拍目の8分裏でのシンコペーション、2小節目の4拍目の2つめの8分音符でシンコペーションするようなパターンです。
Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ進行でのベースライン
Montuno(モントゥーノ)でしばし使われるⅠ-Ⅳ-Ⅴ進行でのベースラインを紹介していきます。
前半で紹介したものより、リズミックなものがありますがトレスのパターンを真似たようなものが多いです。
いずれもよく出てくるパターンなのでしっかり弾けるようにしましょう。

ということで、Son Montuno(ソン・モントゥーノ)のベースラインについて紹介してきました。
Son(ソン)のバリエーションとして、そしてSalsa(サルサ)の基礎となるものが多い音楽です。
ぜひ色々聴いて研究してみたください。

※そのうち譜例のベースライン音源もアップします。
ABEMA

ラテンベース入門 その31「Son(ソン)のベース」

久しぶりのラテンベース入門の更新です。
色々とトピックはあるなと思いつつも、どこからとりあげるべきかと順番が難しく思っているのですがまずは思いつく順に各リズムについて更新していこうと思っています。
今回はSon(ソン)について書いていこうと思います。

Son(ソン)とは

Son(ソン)はキューバのオリエンテ州で生まれました。
スペイン音楽とキューバ音楽それぞれの文化の影響を組み合わせできた音楽です。
もっともキューバ的な音楽でサルサの原型となった音楽と言われています。
そして、Danzon(ダンソン)がCha-Cha-Cha(チャチャチャ)やMambo(マンボ)に発展していくのに影響も与えています。
ということで、様々なキューバ音楽において大きな存在となる音楽です。
ルンバって言われがち
Son(ソン)はキューバばかりでなく、世界的に知られる音楽となりました。
「El Manisero(南京豆売り)」という曲が、世界的に大ヒットしました。
これがアメリカへ持ち込まれた際に「Son(ソン)という言葉が英語のSongと混同されるから…」という理由でRhumba(ルンバ)と表記されることになってしましました。
社交ダンスなどでもRhumba(ルンバ)という名前で組み入れられてしましました。
本来のキューバ音楽におけるRumbaと混乱してしまいがちですよね。
そこから大きく誤解と勘違いがうまれ、今もなお混乱が続いているわけです。
表記も現在ではどちらもRumbaとされているので単語を見ても見分けはできません。

ラテン音楽以外の人から 「ルンバで!」と言われた時は要注意です。

Son(ソン)に使われる楽器の変遷

もっとも初期のSon(ソン)では、ベースパートにはBotija(ボティーハ)という素焼きの壺、もしくはMarimbula(マリンブラ)という親指ピアノを使っていました。
ここで使われている壺がBotija(ボティーハ)です。
Marimbula(マリンブラ)
最も初期の編成ではギター、トレス、Botija(ボティーハ)もしくはMarimbula(マリンブラ)というものでした。
そしてこれにBongo(ボンゴ)が加わり、Guiro(ギロ)が加わり。
ベースパートはウッドベースが使われるようになっていきました。

これがSextet(セステート/六重奏団)編成となっていきます。
グループによって多少の差はありますが、基本的にはギター、トレス、ベース、ボンゴ、ギロ、マラカス、クラベスといった編成です。
さらに1927年には、トランペットが加わりSepteto(セプテート/七重奏団)以降のSon(ソン)における基本的な編成として定着していきます。


楽曲の構成としてはメロディのいわゆる歌曲のテーマ部分(これをギアと称します。)があり、その後に後半にCoro-Canta(コロカンタ)を行うMontuno(モントゥーノ)セクションという構成になっています。

代表的なSon(ソン)の曲

有名な代表曲といえるようなものをいくつか紹介してみます。
“Echale Salsita”
“Son de la Loma”
“El Cuarto de Tula”
“Lagrimas Negras”(Bolero-Son)
他にもたくさんの名曲がありますがひとまずこんなところで。
以下はSpotifyにて、代表的と言えるSonのアルバムを紹介します。
これらも是非聴いてみてSon(ソン)の理解を深めて下さい。

Son(ソン)のベースライン

ようやくSon(ソン)のベースラインについてです。
Tumbao(トゥンバオ)のパターンは下記のようなものが多いです。
2分音符と4分音符でできたベースラインです。
Ex.1の3拍目をシンコペーションさせてリズミックにしたものです。
Ex.2を更に変化させ4拍目を次の小節にシンコペーションさせたものです。
サルサなどでもよくあるトゥンバオのパターンですね。

"Echale Salsita"イントロ部分のベースラインです。
Ex.1と同様のベースラインとなります。
"Son de la Loma"のテーマに入った冒頭部分のベースラインです。
Ex.2と同様のベースラインとなります。

モントゥーノでのよくあるベースライン

Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ7での典型的なベースラインになります。
Ex.6をリズミックにしたものです。

ということで、Son(ソン)について簡単に説明してきました。
他のキューバ音楽やサルサのルーツと言えるものですし、今もなおSon(ソン)の名曲たちは様々なところで歌われています。
是非とも色々研究してみて下さい。
ABEMA