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ラテンベース入門 その11 クラーベとコード進行

クラーベとコード進行について書いていきます。
クラーベの向きでコード進行も変わってきます。
というべきなのか、
コード進行によってクラーベの向きを変えますなのか。
鶏と卵的な話でどちらが先にくるのかはケースによるのでしょうがw


True Cuban BassやLatin Bass Bookにも記載があるのですが、
コード進行がクラーベを決定する要素にもなります。
トニック(Tonic)から始まるコード進行は2−3です。
モントゥーノでよくでてくるコード進行ですが
Ⅰ−Ⅳ−Ⅴ−Ⅳの場合は一般に2-3
となります。



これが違和感なく思えるのは、
解放感がある2サイドにトニック(Ⅰ△7)が配置され、
緊張感がある3サイドにドミナント(Ⅴ7)が配置されているからと思います。
3サイドの最後の音であるポンチェ(3サイドの4拍目)でもリズムとハーモニーの解決感が一致しています。

ドミナント(Dominant)から始まるコード進行は3−2です。
Ⅴ-Ⅳ-Ⅰ-Ⅳのコード進行は、トニックから始まるものとは逆で一般に3–2になります。



これは2−3のときとは逆で
緊張感のある3サイドでまずドミナント(Ⅴ7)が置かれ
ポンチェ(3サイドの4拍目)にトニックがきてリズムの解決感とハーモニーの解決感が一致。
そして、解放感がある2サイドにトニックを配置いるためクラーベとコード進行が一致している感じがします。

と、ここまで書いてきましたがあくまでコード進行だけで判断するとこうだようという話でして実際はメロディーの動きでも判断してクラーベが逆になってたりというケースもあります。
あくまでこのコード進行だと一般的にはこうなるという話です。

ベーシスト的にはとりあえず、初見でクラーベの向きが謎な時などは最初はベーシックなトゥンバオを弾いておきましょうw
そして、メロディーの流れなどでクラーベが判別できてきたらバリエーションをつけていくようにしましょう。



ラテンベース入門 その10 サルサの曲構成


少しベースの話から離れてサルサの楽曲構成について書いていきたいと思います。
僕自身、ジャズなどのフォームに慣れて演奏していたので始めた当初はラテンの楽曲の構成に戸惑うことばかりでした。
ラテン・ジャズなどを演奏する上でもこれを知っておくと展開が理解しやすいと思います。
テーマ
普通のポピュラー音楽の構成は、イントロ、Aメロ、Bメロ、サビなどの組み合わせでできていますね。
ジャズなどでいうところのテーマがAメロBメロサビ/洋楽でいうところのヴァース/コーラスとか。
サルサの曲構成もイントロ〜そこまではあまり普通のポップスと変わりません。
とりあえず、ここでは前半部分をテーマとしておきます。
サルサのもとになった少し古い形式のジャンルであるソン(Son) ではここまでのことをギアと呼びます。
テーマが終わった後半からの展開がラテン特有のものとなります。

モントゥーノとトゥンバオ

テーマが終わった後からがいよいよラテン特有の展開となっていきます。 
4〜8小節程度のコード進行で繰り返しのセクションで盛り上がって行く部分です。
この繰り返しのセクションを
”モントゥーノ(Montuno)”
と呼びます。
モントゥーノという言葉を
「ラテン音楽ピアノのパターン」
と認識されていることが多いかと思いますが、
本来モントゥーノとは曲のセクションの名前です。
このピアノのパターントゥンバオ(Tumbao)といいます。 
以前の記事でも書きましたが、トゥンバオとはピアノ、ベース、コンガによって繰り返し演奏されるリズムパターンのことをいいます。

コロ–カンタ(Coro–Canta)

普通はモントゥーノセクションに入ると、
まずコーラスとボーカルの掛け合い(コール&レスポンス)がスタートします。

このコーラスのことをコロ (Coro)、ボーカルの掛け合いのことをカンタ(Cantata)といい、モントゥーノセクションの中でもこの部分をコローカンタ (Coro-Canta)と称します。
このコロ–カンタのセクションが曲の中で最高に盛り上がる場面となります。

シンプルなコード進行によることがほとんどで、基本的に繰り返し回数は決まっておらず、次の展開に進むまでコーラスと掛け合いながらボーカルは即興で歌い続けます。
この即興の部分をソネオ(Soneo)といい、即興でかっちょよく歌える歌手のことをソネーロ(Sonero)と呼びます。

ここでコーラスと掛け合うのがボーカルではなく管楽器などによるソロの場合はCoro-Solo(コロ-ソロ)といいます。

Mambo(マンボ)

コロ-カンタの後にくる管楽器のリフのセクションをマンボ(Mambo)と呼びます。
(リズムやジャンルで“マンボ(Mambo)“という同じ呼び名のものがあるのですがそれとは別のものです
Mamboはコロ–カンタ部分とコード進行が変化したり、リズムセクションに仕掛けをつけたりすることもあります。

コロ-カンタ2回目

通常はマンボの後にもう一度コロ-カンタが入ります。

エンディング

そして、エンディングでおしまい。
これは曲によって様々です。


以上をまとめて、基本的なよくある構成としては

 前半【イントロ】~【テーマ】

後半【モントゥーノ】
【コロ-カンタ】–【マンボ】–【コロ–カンタ】–【エンディング】

このようにマンボの後はもう一度コロ-カンタに戻ってからエンディングですが、
エンディングにいかず、もう一度マンボ、コロ-カンタを繰り返すこともよくあります。
ピアノや管楽器、打楽器など楽器によるソロがある場合は、コロ-カンタとマンボの間に入ることが多いです。
ただあくまでもよくある基本的な構成ですので、全ての曲がこれに当てはまるというわけではないです。

では、実際の曲でこの構成を確認してみましょう。
 まずテーマです。 
1:47〜のブリッジを挟んでからモントゥーノへ行きます。 
 モントゥーノ(Montuno)です。 
1:58〜管楽器の間奏を挟んで、2:07からがコロ-カンタ(Coro–Canta)
 2:56〜 マンボ(Mambo)になります。
 3:18〜 2回目のコロ-カンタ(Coro-Canta)。 
この曲だと1回目とちょっと違うメロディのコロになっています。 
 3:53〜 エンディング

もう1曲みてみましょう。

 まずイントロからのテーマです。
 1:23〜モントゥーノ(Montuno)です。
まずコロ-カンタ(Coro-Canta)があって、
その後キューがあって、短いキメをやって
2:01〜Conga Soloです。
僕は最初知らずに本番でがっつりと大失敗をした覚えがあるのですが…。
ジャズの4バース的なのとは違い、ドラムやパーカションソロの時にピアノやベース、他のパーカッションもソロの時に休んだりしません。
トゥンバオし続けて下さい。
ソロの後半では盛り上げる為に別のコロ(Coro)をつけてます。
この手のはその場で付けたりとかもよくします。
3:12〜  コンガソロが終わりマンボ(Mambo)になります。
3:30〜マンボ(Mambo)が終わったら、コロ-ソロ(Coro-Solo)でコーラスとトランペットの掛け合いがあります。
4:08〜から2回目のコロ-カンタ(Coro-Canta)
 4:36〜 エンディング

その他に出てこなかったものとして、以下のものもモントゥーノセクションででてくるやつです。

Mona(モニャ)

2回目以降のコロ-カンタの後に登場する管楽器のリフをMoña(モニャ)と称します。
モニャは1曲の中に複数現れることも珍しくないですし、即興で演奏したりします。
こちらは2小節ないし4小節単位のフレーズを繰り返して、
多くはマンボに比べて、ハーモニーや構成がシンプルでコード進行もコロ-カンタのものをそのまま用います。
このセクションは曲によってあったり、なかったりですがその場のノリで追加されたり、削られたりということもしばしあります。

マンボとモニャの違いについては僕はこんな認識だったのですが、
確証のある出典が確認できなかったのでなんとなくな感じで…。
最近、会う人みんなに「マンボとモニャってどう違うの?」
と聞いてみていたのですがみんな答えが違いましたwww
正解だれか教えて下さい…。

Bomba Cubano(ボンバ・クバーノ)

このセクションも曲によってあったり、なかったりその場のノリで追加されたり、削られたりという感じです。
どんな感じかっていうと、4:10〜4:30あたりのやつです。

このBomba Cubanoでのベースの奏法についてはまた記事にしたいと思います。
ベースがかっこいいところです!
という感じで、サルサの基本的な曲構成について書いてみました。
モントゥーノ以降はほぼほぼ同じコード進行で、ずーっと同じこと弾いているなんてのもざらなのですが今どういうセクションにいるのかっていうのは常に意識しておきましょう。
他の音楽に比べるとかなり明確にわかりやすくキュー出しとかもします。
同じことやっているだけにどこだかわからなくなりロストしがちなのです…。
そして、結構その場の雰囲気でモントゥーノ以降の構成を変えたりということもしょっちゅうあるので、周りをよく聴き、注意して演奏しましょう〜。



ラテンベース入門 その9 クラーベに基づいたフレージング


クラーベの機能

ラテン音楽を演奏する上で大切なのは、
イン・クラーベであり続ける
ということです。
アレンジを構成するリズム/メロディ/ハーモニー全てがクラーベに沿うように展開していきます。

この記事ではハーモニー、メロディについてはおいておいて。
ひとまずリズムについて書いていきたいと思います。

クラーベにリズムを対応させよう

ラテン音楽の各楽器のパターンはクラーベによって形成されています。
ですので、クラーベの種類によってどのようなパターン/フレーズを演奏するかが決定されます。
基本的なルールとしては、
・クラーベの2サイドの小節ではダウンビート(表拍)を強調する。
・クラーベの3サイドの小節ではアップビート(裏拍)を強調する。

わかりやすい2小節のピアノのトゥンバオのパターンを例としてあげてみます。
Ex.1a 2-3クラーベでのピアノのトゥンバオ

まず2-3クラーベでのピアノのトゥンバオのパターン。
2サイドである1小節目は表拍から始まるフレーズで、
3サイドの2小節目は全て裏拍で始まるフレーズになっています。
したがって、このトゥンバオは2-3クラーベに沿ったトゥンバオとなるわけです。
Ex.1b 3-2クラーベでのピアノのトゥンバオ
Ex.1aのパターンを3-2で演奏する場合は、小節を逆さまにして裏拍から始まるフレーズから始めればよいわけです。
リズムスタイルなどによりこのルールから外れるものもありますが、基本的にはこのルールに基づいてフレージングされます。
クラーベに影響されないトゥンバオのパターンもあります。
(ベースでいうと以前の記事のようなパターン)
下記のようなピアノのトゥンバオはクラーベに影響されずに演奏できます。

これらはソンなどにおいてトレスなどでよく演奏されるパターンです。
表拍(1,3拍目)を強調しないで、アップビート(2,4拍目)を強調した1小節パターンとなっています。
このように
ダウンビート(表拍)を省略し、シンコペートした1小節のパターンを演奏するのであればクラーベとは衝突しません
まとめ
1.クラーベの2サイドの小節ではダウンビート(表拍)を強調。
2.クラーベの3サイドの小節ではアップビート(裏拍)を強調。
3.ダウンビート(表拍)を省略し、シンコペートした1小節のパターンを演奏するのであればクラーベとは衝突しない。

クラーベに基づくベース・トゥンバオのフレーズ

とりあえず、ここまではピアノトゥンバオを例にクラーベの反転によるフレーズの変化を解説してきました。
ベースラインにおいても同様のルールでフレーズを変化させていきます。
通常のベーストゥンバオではこれらの影響を受けませんが、
トゥンバオを複雑化させていった場合これを注意していく必要があります。
ここで幾つかのクラーベに沿ったトゥンバオをクラーベの向きが正しい例と間違った例を並べてみます。
クラーベに当てはまっているものをイン・クラーベ
クラーベと当てはまらないものをオフ・クラーベ
といいます。
Ex.1

Ex.1は2小節(1クラーベ)のフレーズです。
上段2-3のトゥンバオがイン・クラーベです。
上段だと2サイドで表拍を強調したフレーズ、3サイドで裏拍を強調したフレーズとなっています。
3サイドのフレーズはクラーベとシンクロしています。
下段の3-2の場合2サイドで裏拍を強調したフレーズになり、
クラーベに当てはまらないフレーズとなっています。
Ex.2

Ex.2はCachaoの有名なフレーズで、4小節(2クラーベ)でできています。
上段2-3のトゥンバオがイン・クラーベです。
こちらもEx.1と同様に上段だと2サイドで表拍を強調したフレーズ、3サイドで裏拍を強調したフレーズとなっています。
3サイドのフレーズはクラーベとシンクロしています。
下段の3-2の場合2サイドで裏拍を強調したフレーズになり、
クラーベに当てはまらないフレーズとなっています。
Ex.3

Ex.3は、2小節(1クラーベ)のフレーズです。
下段3-2のトゥンバオがイン・クラーベです。
上段の2-3の場合、3サイドでの3拍目が裏拍でないと不自然な感じでオフ・クラーベです。
下段の3-2だと2サイドで表拍のフレージングがクラーベと当てはまります。
Ex.4

Ex.4は、4小節(2クラーベ)のフレーズです。
下段3-2のトゥンバオがイン・クラーベです。
上段の2-3の場合、2小節目の3サイドでの3拍目の表拍のフレーズ、3小節目の2サイドでの1拍目が裏拍でのフレーズがオフ・クラーベです。
下段の3-2だと2サイドで表拍のフレージングがクラーベと当てはまります。

ということで、2-3/3-2クラーベでのフレージングについて簡単に書いてきました。
とりあえず、例示したのはソン・クラーベでのフレージングだったのですがルンバ・クラーベになるとまたベースラインもこれによって変わってきます。
これについても今後書いていきたいと思います。

※そのうち例示しているトゥンバオのパターンの動画or音源もアップします。



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