ベースレッスン「インターバルトレーニング5度」

前回に引き続きインターバルのトレーニングをやっていきます。
今回は5度のインターバルです。
ベースラインとしては最も頻繁に出てくるインターバルかもしれません。

完全5度(Perfect 5th)

基準となる音から半音7つ上の音となるのが完全5度の音程です。
指板上でいうと…
同じ弦の7フレット上方
または
隣接する高い方の弦の2フレット上方
1弦挟んで高い方の弦の3フレット下方
に完全5度の音程はあります。
完全5度(Perfect 5th)フィンガーボード表
基準の音を青い◯
それに対しての完全5度の音程をオレンジの□で示しています。
各位置関係を把握してください。

減5度については前回の記事に記載しているので省略します。

5度のインターバルを用いてメジャースケールの練習

5度のインターバルを用いてメジャースケールの練習です。
基本的には完全5度のインターバルになっていますが、
BとF間のインターバルのみ減5度となっていますので注意してください。
ポジション移動が多くなりますので上手く次のポジションへシフトできるようにしてみましょう。
5度を2回積んだ形になっています。
最初に弾いた音から見ると9thを弾くラインとなって割とフュージョン系などで重宝するインターバルです。
5度を3回積んだ形になっています。
先程のより更に広い音域となるのであっという間にゴールのCにたどり着きます。
このインターバルでのエクササイズもできる人は移調して12keyで弾いていきましょう。
他と同じく、その時移調したものを譜面には書き起こさないでやってくださいませ〜。

という感じで、今回は5度のインターバルの練習をしてきました。
次は順番で6度のインターバルを紹介していきたいと思います。
ABEMA

ラテンベース入門 「Danzónのベース その2」

こちらの記事に引き続きDanzón(ダンソン)について書いていきたいと思います。

EstribilloまたはMontuno

前回の記事で書いたDanzón(ダンソン)の曲構成
A.パセオ(Paseo)
B.Fluteによるテーマ演奏
A.パセオ(Paseo)をもう一度演奏
C.Violinによるテーマ演奏
Ending

と記載していましたが、Cのセクションの後にラストパートとなる、EstribilloまたはMontuno(モントゥーノ)のセクションと呼ばれるセクションが加わってきます。
このセクションはDanzón(ダンソン)の曲の中で最もAfroな要素が多い部分です。
このセクションに入るとややテンポが速くなり、よりアグレッシブなリズムで演奏されることが多いです。

Danzón(ダンソン)のMontunoでのベース

こちらはOrquesta Verar del Realの楽曲から。
1900~1920年頃の初期のTubaでのトゥンバオの典型的な例です。

1940年代にArcaño Y Sus Maravillasが台頭する以前に主要となる多くの作品を残すDanzónのグループである”Orquesta Antonio Romeu”の楽曲のDanzonのMontuno部分の譜例を紹介します。
これらの譜例は1925年から1928年に録音されたものですが、まだTresillo(USP)を主に使っていた大多数のSonのグループよりもずっと早くから、いわゆるコードを先行したシンコペーション=(Anticipated)したベースライン(この譜例だとGuarachaのASPのスタイル)を取り入れていました。
このあたりの分類は下記の記事をご参考に

「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その1 USP Unanticipated-Single-Ponche」

「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その2 UDP〜Unanticipated Double-Ponche」

「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その3 ASP〜Anticipated Single-Ponche」

「クラーベに左右されないTumbao〜Clave Neutral その4 ADP〜Anticipated Double-Ponche」

曲全体での譜例

ここからはDanzónの曲全体でベース・パートを学んでいきましょう。
Orquesta Tata Pereiraが1924年に録音した"La Sandunguita"を元にしています。
(1998年にリリースされた同タイトルのIssac Delgadoの曲や、Alain Perezのヒット曲、Los Van Vanの1983年の名曲「La Sandunguera」とは別ものです。)
曲の構成は
「A-B-A-C-A-Montuno-Ending」
というような感じです。
この音源はチューバで演奏されているものです。

上声部の管楽器のパートはほとんどの場合、アレンジされた書き譜のものを演奏していますがベースパートであるチューバはほぼ間違いなく書き譜されていません。
耳とコードを頼りに即興で演奏していると思われます。
そんなわけもあってAセクションで毎回の演奏に少々の変化があります。
全体を暗譜して覚えてDanzónのグルーヴや雰囲気を掴んでみてください。

Danzon de Nuevo Ritmo(ダンソン・デ・ヌエボ・リトモ)

1940年代に入るとAntonio ArcañoとCachaoはこのセクションの伴奏をこれまでのBaqueteo(バケテオ)に変わって、コンガとカンパナを用いた新しいグルーヴを使い始めました。
これを「Nuevo Ritmo(ヌエボ・リトモ)」と称していました。
そして、この新しいリズムスタイルをDanzón-Mambo」と呼びました。

1950年代以降になるとモントゥーノセクションでは更に、Cha-Cha-Chá(チャチャチャ)のリズムもよく使われるようになります。

ラテンジャズのライブでは、必ずと言っていいほどDanzónをオマージュした演奏が演目にありますがその際にはBaqueteo(バケテオ)の部分を短く省略してCha-Cha-Chá(チャチャチャ)の部分を長く演奏することが多いです。
Danzónde Nuevo Ritmo(Cha-Cha-Cháの原型)
Danzónde Nuevo RitmoのMontuno(モントゥーノ)セクションで用いられる典型的なベースラインの一つです。
前述の通りCha-Cha-Chá(チャチャチャ)と同型のベースラインとなっています。
後にこのセクションのリズムだけを用いてCha-Cha-Cha(チャチャチャ)が誕生するわけです。

Mambo(マンボ)の誕生

1940年代にはDamaso Peréz Pradoが、Danzón(ダンソン), Son(ソン), そしてアメリカのビックバンドの影響を受けた新しい音楽”Mambo(マンボ)”が誕生しました。
 Mambo(マンボ)は、1950年代にアメリカ特にニューヨークで成功を収めました。
 Mambo(マンボ)は、アップテンポなホーンが主体となるダンスミュージックです。
Danzónde Nuevo Ritmo(Mamboのパターン)
ベーシストはSon(ソン)の基本的なベースラインを用いていましたが音価を短く弾かれています。

Cha-Cha-Chá(チャチャチャ)の誕生

1953年にヴァイオリニストのEnrique JorinがDanzón(ダンソン)を発展させ作り上げたのがCha-Cha-Chá(チャチャチャ)です。
Cha-Cha-Chá(チャチャチャ)はシンコペーションが少ないので、
ダンスもあまり複雑でなくて、踊りやすいダンススタイルとして人気となりました。
以前の記事にたっぷり紹介しているのでそちらも参照してください。
Danzónde Nuevo Ritmo(Cha-Cha-Cháのパターン)
Cha-Cha-Chá(チャチャチャ)の基本的なベースラインはDanzón(ダンソン)のマンボセクションが元になっています。
ですので、そのマンボスタイルと同じように音価を短くして演奏しましょう。
ということで、Danzón(ダンソン)のマンボセクションについて書いてきました。
Danzón(ダンソン)から現代のキューバ音楽の元とMambo(マンボ)やCha-Cha-Chá(チャチャチャ)も派生していできていますので何かと勉強になると思います。
ABEMA